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テクノロジー関連への楽観が後退する場合の備えは?

1月 28, 2026 - 3 min
テクノロジー関連への楽観が後退する場合の備えは?

運用業界の大ベテランであるルーミス・セイレスのデイビッド・ローリーが、40年を超えるキャリアで培った投資の知見を凝縮して、現在の市場環境に至るまでの歴史的背景、AI関連の楽観論がリスクを大幅に高める理由など、それらが債券投資家にとっての意味するものについてご説明します。

過去25年を振り返ると、決定的な瞬間には事欠きません。ベテラン投資家として、投資の観点から特筆すべき点を教えてください。

デイビッド・ローリー(DR): それでは、20年の間隔を置いて訪れた、2つの市場の転換点についてお話ししましょう。

1つ目の転換点は、米ドルの弱気相場と米国内におけるインフレの上昇がピークに達した1980年です。1960年代末から1970年代にかけて、安定的な国際秩序として認識されていたブレトンウッズ体制は、崩壊の局面を迎えました。米国市場に注目すると、米ドルが9年にわたる弱気相場を経験する中で、インフレの上昇ペースは加速し、1980年には13%というピークの水準に達しました。また、当時のポール・ボルカーFRB議長の「必要なことは何でも行う」という金融政策の方針のもとで、米国債市場では短期債利回りが20%に、長期債利回りが二桁の水準へと上昇しました。その結果、米ドルは支配的な地位を確立し、米国の債券市場と株式市場では目覚ましい強気相場が続きました。また、大規模な政策転換は資産クラスと投資のパラダイムシフトを引き起こすという教訓が、長期にわたって刻み込まれました。

この流れは、2000年頃に到来した2つ目の転換点につながります。ここで言う2000年とは、ドットコム・バブルの崩壊ではなく、国際社会における中国の台頭を指します。中国は突如として脇役の座を脱し、国際市場を動かす最大の要因に変貌したのです。ルーミス・セイレスのポートフォリオ・マネージャーは、不透明なリスクを伴う中国に対して直接投資する代わりに、中国が必要とするさまざまなものを供給する企業や国へと、投資の軸足を移しました。その結果、ルーミス・セイレスは運用パフォーマンスにおいてアワード受賞を果たし、同時に、中国の需要がコモディティ市場を一変させるという想定のもとで、グローバルな運用体制を構築するに至りました。こうしたパラダイムシフトを見極め、二次的、三次的な影響を想定してポジショニングを実践することが、私のキャリアそのものだったのです。

そうした決定的な瞬間は、市場リスクに対する考え方やポートフォリオ構築へのアプローチに、どのような影響を与えたのでしょうか。

DR: ブレトンウッズ体制の崩壊後、多くの「米ドル弱気筋」は変化に適応できず、米国の資本市場が勢いを取り戻した局面でのラリーを逃しました。ここでは、「従来の図式に固執すべきではない」という教訓が残されました。

一方、中国のストーリーは、確信度の高いテーマであると同時に、2つの意味で逆張り的なテーマでもありました。第1に、アジア債務危機を契機に、ほとんどの投資家がアジアを中心とする新興国市場を敬遠していた点です。第2に、中国向けの投資を避ける代わりに、ブラジル、ペルー、韓国などの供給国の外貨建て債券に焦点を当てるという私たちの判断が、リスク・プレミアムの魅力と需要構造の明確さという二重の意味で功を奏した点が挙げられます。もっとも、重要なポイントは「市場のリスク」と「実際のリスク」を区別することであり、市場の警戒感に惑わされず独自にリサーチを行えば、実際のリスクが印象よりもかなり低いとわかる場合があります。

今となっては別世界のように感じられますが、この時期の経験を若い世代の人々にどのように伝えればよいのでしょうか。

DR: 情報源の多様化を図るべきというのが、私の一番のアドバイスです。歴史を読み解き、市場や地域を横断的にそして時間軸に沿って捉え、視野を広げることです。重要なのはパターンを探してそれを認識することであり、金融史だけでなく経済や、さらには軍事の歴史をも学ぶことによって、今日の出来事との類似性が見極めやすくなります。

不確実性の絶妙なコントロールがポイントです。バリューが失われる前に、必要最低限の情報でも行動するということです。

市場は新しい方向に進んでいるように見えても、過去と類似した動きを繰り返すことが少なくありません。政策対応の前例、成功例、失敗例を学び、その知見を生かして今後の方向性を予想することが望まれます。戦略指揮官には、ここでは中央銀行がそれに該当しますが、前回と同じ戦略で戦おうとする傾向がみられます。このため、歴史を学べば、政策当局が新しいチャレンジにどのように対応するかを、ある程度予測する材料が得られます。

私は常々、投資を始めたばかりの人に対して、幅広い教養を身につけるよう助言しています。数学やコンピューターサイエンスは基礎的な素養ですが、歴史学、経済学、地理学、心理学、物理科学の知識でさえも、役立つことがあります。投資はリベラルアーツ(一般教養科目)であり、数字だけでなく人間の動機付けや行動にも関連します。専門的なスキルだけではうまくいきません。背景を理解し俯瞰的に捉えることが不可欠です。

債券のポートフォリオについてはどうでしょうか? これまでの実体験は、リスク管理や不確実・曖昧な状況への対応に、どのように活かされているのでしょうか。

DR: 債券には、通貨、年限、クレジット(信用リスク)という3つの軸があります。なかでも、リスクとリターンの関係が最も良いのはクレジットです。サプライスによって引き起こされるクレジットの歪みはしばしば最大であり、そこにアウトパフォームのチャンスが生まれます。

ルーミス・セイレスでは、リサーチが実践的であり、適切なタイミングで運用担当者に提供されるよう徹底しています。運用チームは情報が市場価格に完全に織り込まれる前に行動することが求められるので、不確実性をある程度受け入れる必要があります。タイミングを逃せば優位性は消滅し、拙速に動けば未知のリスクに足元をすくわれます。不確実性の絶妙なコントロールがポイントです。バリューが失われる前に、必要最低限の情報でも行動するということです。

時計の針を2025年に戻します。通常よりも不確実性が高まっているように感じられますが、新たな転換点に差し掛かっていると考えられるでしょうか。

DR: 確かに通常よりも不確実性が高い環境ですが、市場では、米国の関税政策に関連するリスクやボラティリティは落ち着いたように思われます。むしろ、アセットアロケーションにおける最大かつ支配的なテーマは、人工知能(AI)に対する期待と、AIが今後5~10年間に生み出すテクノロジー関連の収益に対する楽観的な見方です。S&P500株価指数では、少数のテック銘柄の比重が一段と高まっていますが、集中度の高さは失望のリスクを大きくします。成長が期待外れとなるシナリオや、米国のテック銘柄が中国からの競争圧力を受けるシナリオに対して、市場は脆弱です。

特に米国のテクノロジー関連銘柄への失望など、株式市場に何らかのショックが生じた場合、米ドル建て以外の債券(国債に限りません)への投資が、最適なヘッジ手段となる可能性が高いと考えられます。株高の資産効果が崩れれば、景気後退局面が到来して、政策当局は利下げを進めます。そのようなシナリオでは、米国資産に偏重している投資家が分散を図る動きを背景に、米ドル以外の通貨が上昇し、グローバル債券の優位性が高まる可能性があります。

また、デフレ・ショックに対しても、債券は優れたヘッジ効果を発揮します。反対に、2022年に見られたようなインフレ・ショックでは、インフレの高騰を受けて債券安となり、次に株価収益率の低下に伴い株価も下落します。したがって、「ヘッジ」が損失を増幅させる展開となります。このため、デフレ環境であるかインフレ環境であるかを、見極めなければなりません。それによって、ポートフォリオでは正反対の対応が必要になります。

AI相場から手を引くのが難しい状況において、投資家は先行きについてどの程度懸念するべきでしょうか。

DR: 程よく懸念するよう心掛けるべきというのが、私のアドバイスです。前向きな兆候も見受けられます。米中間では、戦争ではなく競争が進展しているように思われます。この状況が続く限り無難な展開が予想されますが、真の衝突が起きれば影響は破壊的です

米中が友好関係を保ち、大国間の競争が経済的な範囲にとどまるのであれば、フラグメンテーション(多極化)が進む一方でグローバリゼーションの流れは後退すると予想されます。また、資本の流れが変わるなかで、インド洋、アフリカ、湾岸地域といった新興の地域が、投資機会として注目を集める見通しです。「中所得国の罠」は、若年層と資本が結び付くことによって、投資家にとっての「チャンス」に変わると見込まれます。

端的に言えば、“今回は違う”のでしょうか。

DR: 違うとも、これまでと同じとも言えます。これまで80年間続いた世界の金融システムは、各国のパワーバランスが変わったことで、以前とは異なるものになるでしょう。米国の覇権が弱まる一方で、地域ごとの多様性が増すなど、影響力が分散した世界に向かいつつあります。また、デジタル通貨やステーブルコインの利用が進むことにより、金融や決済の仕組みが変わる可能性もあります。AIを活用した不正行為が顕在化するかもしれません。慎重な姿勢が必要であることに変わりはなく、リサーチの必要性も変わらないでしょう。

経済学、歴史学、各地域の政治情勢、さらには地理学といった基礎的な知識に精通していることは、一段と有益になります。興味深い話ですが、地球温暖化が進むなかで、主要な金融センターの多くは港湾都市であり、その大部分は水没するおそれがあります。それを踏まえると、オランダのエンジニアリング企業が、有力な投資対象になるかもしれません。というのも、オランダはすでに長期にわたって国土の一部が海面下にある国であり、そこで優れた業績を残しているからです。

 

このインタビューは2025年11月に実施されました。

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