日本のコーポレートガバナンス改革
現在、日本では取締役会の説明責任強化、資本効率の改善、グローバルな投資家の期待に応えることを目的とした、重要なコーポレートガバナンス改革が進められています。
東京証券取引所は、(時価総額と流動性の高い)プライム市場の上場企業に対し、取締役会の3分の1以上を独立社外取締役とすること、女性取締役を少なくとも1名選任すること、さらに取締役のスキルと役割に関する開示内容の充実を求めました。また、指名委員会および報酬委員会の設置を要求する方針を打ち出しています。さらに、海外投資家向けの透明性向上を図るため、英文と日本語の両方での開示を要求しています。
資本効率の改善も重要な課題として位置付けられています。企業には、自己資本利益率(ROE)の向上、低PBR(株価純資産倍率)の解消、(複雑なオーナーシップ構造を生み出す慣行である)株式持ち合いの削減が推奨されています。これらに対して企業には自社株買いの実施や過剰資本状態にあるバランスシートの最適化が促されています。ハリス・アソシエイツでは、日本企業が資本効率向上プログラムを成功裏に実施できれば、大きな成長可能性が見込めると考えています。
スチュワードシップの枠組みとガバナンス連携
ハリス・アソシエイツでは、日本における良好なガバナンスの成果を促進するための各種イニシアティブに積極的に参画しています。
金融庁が策定し2025年に改訂された「日本版スチュワードシップ・コード」は、投資家が日本企業のガバナンス体制、経営戦略、業績を継続的にモニタリングすることを奨励するものです。ハリス・アソシエイツは2019年に当コードを受け入れました。さらに、ハリス・アソシエイツはアジア・コーポレート・ガバナンス協会(ACGA)およびその日本ワーキンググループのメンバーとして、資本管理の改善、取締役会の実効性向上、ESG実践の推進を提唱しています。
これらの取り組みは、日本企業への投資において特に重要な役割を果たしています。
日本企業とのエンゲージメント活動
重要なテーマに関するエンゲージメントは、ハリス・アソシエイツの運用プロセスにおける基本的な要素となっています。ハリス・アソシエイツでは、経営陣が株主と同じ方向を向いた企業への投資を目指していますが、必要に応じて、コーポレートガバナンスの改善を通じた株主価値向上のための経営戦略について協議することもあります。特に、報酬制度、資本配分方針、取締役会構成、業務効率性、開示と透明性といった分野において、日本企業との対話を重視しています。
日本企業とのエンゲージメントでは、経営陣や取締役会との直接面談を行うほか、場合によっては企業宛ての書簡送付や、議決権行使を変革を促す手段として活用することもあります。
具体的な事例としては以下が挙げられます:
富士通 - ポートフォリオ最適化:ハードウェア事業の売却とAI技術の活用促進を中心としたエンゲージメントを行いました。同社は現在、ハリス・アソシエイツの提言に沿ったハードウェア事業の分離を進めています。
関西ペイント - 資本配分:効率的な資本活用の重要性を強調するとともに、ポイズンピルなどの買収防衛策が市場評価に悪影響を及ぼす可能性について注意喚起を行いました。
※ポートフォリオの保有銘柄は予告なく変更される場合があり、個別銘柄の推奨を目的としたものではありません。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。
※当資料の内容は、特に記載がない限り2025年11月30日時点のものです。