発想を転換し、より良い方向を目指す
2022年は大半の投資家にとって悲惨な1年でした。世界中で株式市場が下落し、米国市場および世界市場は約20%下落しました¹。さらに悪いことに、株式と並んで債券も下落しました。2022年にはグローバル債券が31%下落し、米国国債は40%近く下落しました。これは1754年にデータの収集が開始されて以来、最悪の結果です²。
WCMのチームにとっても、真の試練となりました。長年にわたり好調なパフォーマンスを維持してきたWCMのポートフォリオは、大幅に下落しました。本稿では、WCMが大幅な下落を乗り越え、相対的に好調なパフォーマンスの持続へと転換させた変革について、WCMの共同CEOであるポール・ブラックとポートフォリオ・マネージャーを務めるサンジェイ・エイヤーに話を聞きました。
その後のパフォーマンス向上に寄与した2022年の変化
ポール: 私たちは当時、グループで集まり、非常に真剣な会議を行いました。「発想を転換し(think different)、リサーチにおいて向上する(get better)」という価値観の私たちにとって、あの時はまさに発想を転換し、向上しなければならない局面でした。
そこで、私たちがしたことは何でしょう?私たちは、単に絶対的に大きな競争優位性を持つ企業を保有するのではなく、競争優位性が拡大している企業、つまり私たちが「ポジティブな競争優位性の軌道(moat trajectory)」と呼ぶ特性を有する企業を保有することについて、よく議論します。私たちはポートフォリオ内の一部の銘柄について、当時、自分たちが考えているほどポジティブな軌道を描いていないようだと気づいたのです。
そこで私たちは膝を突き合わせ、「確かに、2021年を通じて、世界中のグロース・マネージャーは素晴らしい成果を上げてきた。しかし、2022年以降は異なるゲームになるだろう。では、どうやって他社と差別化を図るべきか?」と話し合いました。その時まさにグループで集い議論して、「競争優位性の軌道を本来の軌道に戻すためにも、真剣に取り組む必要がある。今後3年、5年、10年にわたって段階的に成長が見込めるビジネスを見つけ出すことに、全力を注ぐ必要がある」と考えたのです。
アウトパフォームをけん引した業界や企業
ポール: グロース・マネージャーといえば、通常はテクノロジー企業、消費関連銘柄、ヘルスケア銘柄を保有する傾向があります。しかし、私たちは投資の選択肢を広げ、競争優位性の軌道や人材と企業文化の重要性に関する取り組みを活用して、他の業界に目を向けることにしました。そこで私たちが特定したものは非常に魅力的なものでした。2022年に業績が大幅に上向いている業界を見いだすことができたのです。
サンジェイ: ポールが述べたように、私たちは航空機エンジン、天然ガス・タービン、防衛、シニア向け住宅、EPC(設計・調達・建設)企業などに注目しました。これらの業界は、過去の実績ベースでは、一般的にクオリティ・グロース企業とはみなされていなかったものです。そのため、私たちは「将来的なクオリティ、将来的な成長」という概念を極めて重視しました。
これらの企業に投資した数年前の時点では、将来的にその銘柄が市場からクオリティ・グロース企業とみなされるだろうというコンセンサスに基づいたものでした。これこそが「方向性」と言えるでしょう。業績も企業文化も向上しつつある企業でしたが、市場は風向きが変化していることを認識するのが遅かったのです。それまで注目されていたソフトウェア、高級ブランド、ライフサイエンス、ITサービスといった分野ではなく、私たちが極めて長期的な持続性があると考える、新たなテーマへと、風向きが変わりつつあったのです。
¹.Spglobal.com、msci.com。本資料における特定の有価証券、セクター、または市場への言及は、投資助言、あるいは有価証券の購入もしくは売却の推奨や申し出、またはサービスの提供を構成するものではありません。
².フィナンシャル・タイムズ、2023年2月25日。「2022年の債券急落により、債券の『黄金時代』が終焉」。モーニングスター、2023年1月4日。「2022年の株式および債券市場のパフォーマンスは、一体どれほど悪かったのか?」