WCMの投資哲学が他の運用会社と異なる点
WCMの投資哲学において、重要なふたつの差別化要因があると思います。
1つ目は、私たちが「競争優位性の軌道(moat trajectory)」と呼んでいるものです。これは単に「企業の競争優位性は時間とともに進化しているか?」という問いを、少し凝った表現で言い換えたものでもあります。簡単に言えば、私たちは「すでに偉大」な状態から「平凡」へと成り代わる企業ではなく、「優れた」状態から「偉大な」企業へと成長していく過程にある企業を保有したいと考えています。
2つ目は、企業文化です。企業のDNAについて、私たちは多くの時間を費やして考察しています。企業の文化が、競争優位性を前進させる行動の基盤とインセンティブを確立しているか、つまり企業の文化が競争優位性を拡大する戦略を実行する上で役に立っているかどうかを見極めているのです。すなわち、私たちが注目するふたつの要素は、企業が時間の経過とともに競争優位性を高められるか、そしてその企業文化が競争優位性の拡大を支えているか、といった点です。
現在もなおグローバル株式への投資に良いタイミングと言えるのか
私たちはそう考えています。俗説ですが、「弱気相場は強い企業を生み、強い企業は強気相場を生み出す」とも言われています。
加えて、地道な調査を行い、さらに偉大な企業へと成長している強固な銘柄を見出せれば、市場に十分なアルファ(超過リターン)が存在すると考えています。私たちの投資哲学やプロセスは変わっていません。依然として揺るぎなく、ひたむきに、強固な企業文化を備えた成長する競争優位性(moat)を見つけることに注力しています。投資機会を見出す場所については、これまでに変化を遂げてきました。現在では、コロナ後の高金利環境下において、その機会を探っています。市場には、勢いを増しているように見える分野が存在します。例えば最近では、保険、航空宇宙・防衛、大手製薬企業の一部が挙げられます。これらの企業は、過去5年、10年の間に様々な理由で苦戦を強いられてきた分野と言えるでしょう。しかし、これらの事業や業界が好転する兆しが見え始めています。逆にかつて好調だった一部の業界は、相対的にやや勢いを失っているように見えます。
私たちにとって大切な概念であり注力している点は、まさに「競争優位性の軌道」における「軌道」の部分です。投資哲学自体に変化はないものの、その機会をどこから見出すかという点においては常に変わりゆく可能性があるからです。
不確実性の時代において、企業文化がこれまで以上に重要な理由
私たちは最近、企業の文化を分析・考察するカルチャーチームを大幅に拡充しました。そして、多くのマクロ要因をめぐり不確実性が尽きないこの市場において、企業文化が実を結んでいる事例を数多見出しています。過去3年間でその実力を証明してきた、優れた企業文化を持つ企業こそが、私たちが保有するべき対象です。マクロ経済の動向やサプライチェーンの問題を言い訳に、ただ守りに徹している企業とは対照的な企業です。この環境下できわめて巧みに舵取りをしている企業群は存在します。それらは、真に拡大する競争優位性と強固な企業文化の証であると、私たちは考えています。