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数値化できない短期的なリスクへの対処法

8月 17, 2026 - 3 min
How to deal with unquantifiable short-term risks

今年の第1四半期に起きた地政学的なショックにより、市場は混乱に陥りました。2025年に市場全体でアウトパフォームしていた「マグニフィセント・セブン」銘柄は急落し、投資スタイルの主流が「グロース(成長株)」から「バリュー(割安株)」へと移行しました。

イラン情勢の緊迫化が、今年の波乱の幕開けの主な引き金となり、原油価格の急騰を招き、コモディティ関連市場を押し上げました。第1四半期に市場全体としては大幅な下落を示したものの、エネルギー供給のひっ迫、需要の高まり、そして、投資家のより保守的な姿勢が相まって、エネルギー関連株にとって極めて好ましい環境となりました。

より一般的に言えば、不確実性の高まりを背景に投資家の投資期間が短縮化されたことで、「グロース(成長株)」から「バリュー(割安株)」のシフトにつながりました。「こうした課題があるにも関わらず、ポートフォリオ銘柄企業の事業運営の実績や、私たちが保有する強固な経済的堀(Moat)を持つ企業の将来的な収益力には、引き続き期待を寄せています」と、WCMインベストメント・マネジメントでWCMセレクト・グローバル・グロース株式戦略のポートフォリオ・マネージャーを務めるサンジェイ・エイヤーは語ります。

サンジェイはまた、「昨年末、私たちは2026年のグローバル株式市場は、単一の支配的なストーリーではなく、複雑性によって形作られるだろうと見込んでいました」と付け加えます。つまり、二者択一的な枠組みに頼る投資家は、投資機会を見逃すリスクを背負うことになります。

その見解に変わりはありません。「むしろ、ニュースの見出しに事欠かなかった2026年の幕開けを経て、その考えはさらに強まっています」とサンジェイは続けます。

実際、投資家が直面する課題は急速に変化しています。今日、きわめて重要なのは、予測される結果の範囲が広い投資環境をどのように乗り切るかにあります。

その予測される範囲のどこに着地するかは、グローバルな「AI」と「地政学」という2つの大きな力の軌道に左右されます。これら二つの力については、確信を持って長期的な結果を予測することは困難であるものの、その影響は非常に大きいことから無視することはできません。

 

不確実性は構造的なものになりつつある

この新しく登場したグローバルな力の予測不可能性から、高まった不確実性が一時的なものでなく、構造的なものになる可能性があると、サンジェイは指摘します。

これは必ずしもネガティブなことではありません。パフォーマンスにばらつきが生じると、投資機会が拡大するからです。パフォーマンスの乖離は、実際には、株式を株価が予想価値に近い水準で売却し、それを大幅に下回る水準で取引されている株式に再投資するといった一貫した投資の枠組みには、有利に働きます。

この点を踏まえると、第1四半期に見られた極端な乖離は注目に値します。S&P500構成銘柄のうち、50番目にパフォーマンスが良かった銘柄は、450番目にパフォーマンスが良かった銘柄を約44パーセントポイント上回っており、この差は2020年初頭の新型コロナウィルスによるロックダウン以来見られなかったものです。

セクター間のばらつきも同様に大きいものでした。エネルギー株が急騰した一方で、ソフトウェア株は下落しました。ハリス・アソシエイツでUSバリュー株式戦略のポートフォリオ・マネージャーを務めるビル・ナイグレンは指摘します。「その動きに伴い、私たちは主にエネルギー関連銘柄と資本財関連銘柄を売却し、その資金を主にソフトウェア銘柄と金融銘柄に再配分しました。」

 

見通し: 回復力が変動性の高さを見えにくくする

ミローバでグローバル・サステナブル・エクイティ(GSE)戦略のポートフォリオ・マネージャーを務めるソリアーヌ・ヴァルレによれば、市場および経済全体の回復力が第1四半期の主要なテーマとなりました。ソリアーヌは、米国のインフレ率がFRBの目標である2%を上回り続け、雇用への懸念も深まったものの、消費者による支出は維持されたと指摘します。また、企業収益見通しも総じて堅調さを保ちました。

しかし、この市場と経済状況の回復力が市場の潜在的なボラティリティを見えにくくしている可能性があり、今後それが顕在化されるリスクがあります。米国とイスラエルによるイランへの共同攻撃に対し、明確な収束の兆しや長期的な解決策は見当たりません。そのため、ホルムズ海峡の封鎖による中長期的な貿易への影響も予測しがたいものとなっています。

不透明な状況が継続し、ポートフォリオへの直接的な影響も限定的であることに加え、投資も長期的なアプローチを採用していることから、ソリアーヌはイラン紛争を受けてもポートフォリオに大きな変更を加えていません。「不確実性や変動の激しい期間においても、私たちは規律ある投資プロセスと長期的な視点を維持しています」と、ソリアーヌは言います。

GSEのポートフォリオは、ヘルスケアや公益事業といったディフェンシブセクターへのエクスポージャーと、情報技術や工業セクターの景気循環型・成長型銘柄を組み合わせており、バランスを取ったものとなっています。同時に、このポートフォリオはクオリティ銘柄を重視する傾向にあります。

「このポジション構成により、多様な市場環境を乗りきることができると考えています」と、ソリアーヌは付け加えます。GSEチームは、さまざまなシナリオを策定、また新たに得られた情報を反映させながら、それらの各企業のファンダメンタルズ、バリュエーション、およびポートフォリオへの潜在的な影響を常に評価しています。

 

長期的な成長牽引要因に変更はない

GSEはリスクの高まりを受けて微調整を行ったものの、その中核的な焦点は依然として長期的なトレンドと成長を牽引する要因にあります。最近の市場の不確実性にもかかわらず、主要なテーマに変更はありません。主なトレンドと成長を牽引するものとして、長寿化や高齢化、そして生成AIの台頭などが挙げられます。

最近の地政学的出来事の結果、それらの一部のテーマはさらに強まっており、例えば、「脱グローバル化」や「権力構造の変化」といったものの影響力が増しています。

ソリアーヌは、エネルギーや水資源、サプライチェーン、サイバーセキュリティなどの分野において、各国および各業界のセキュリティへの注目が強まっているとみています。そして、それらがすべての長期投資家がより関心を高めるべき分野となります。

※本文に記載の内容は、2026年6月1日現在のものです。

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