株式市場はしばしば「ジェットコースターのような乗り物」と表現されます。2025年に入ってから投資家が経験したような緊張感あふれる状況において、この表現がこれほど適切だったことは稀です。最近の市場のボラティリティは多くの人々にとってストレスの多いものでしたが、アクティブ・マネージャーや入念に準備していた投資家にとっては、優良企業を割安で購入する魅力的な機会を提供しました。
著名なバリュー運用会社であるハリス・アソシエイツ(以下、ハリス社)の米国CIO兼ポートフォリオ・マネージャーのビル・ナイグレンは、バリュー投資家にとってエキサイティングな時だと述べています:
「私たちは、S&P493(マグニフィセント・セブンを除くS&P500の 493銘柄)がマグニフィセント・セブンを上回るリターンと、より低いボラティリティをもたらす環境にあると考えています。過大なリスクを取らずに超過リターンを追求する投資家にとって、人気を集めている数少ない銘柄以外のところに多くの機会が存在しています。」
「過去10年間の大部分において、S&P 500は時価総額の大きなテクノロジー企業に集中し、それらの銘柄が市場の他の銘柄よりも大幅に優れたパフォーマンスを示していたため、ベンチマークとして上回ることが非常に難しい存在でした。しかし、2025年第1四半期には、いわゆる『マグニフィセント・セブン』(アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)の平均株価は16%下落しました。実際、マグニフィセント・セブンの平均リターンは2024年7月初旬以来ではマイナスに転じ、2024年12月のピーク時から20%下落しています。これが投資のパターンです:誰もがその投資が素晴らしいと語り始めた時、それは通常、もはやそれほど素晴らしいものではありません。」
株式のバリュエーションは高水準にあり、株式の投資機会も高まっている
米国株式は第1四半期に下落し、投資家の注目はマクロ経済イベントに移りましたが、米国の大型株指数は依然として長期平均を大幅に上回るバリュエーションで取引されています。また、最近のラリーが狭い範囲の銘柄にとどまっていることにより、ディスパージョン(つまり、銘柄間のバリュエーション格差)は通常のレベルを大幅に上回っています。以下のグラフは、S&P 500指数で最も高バリュエーションの株式では株価収益率(PER)が過去15年間で大幅に上昇した一方、最も低いバリュエーションの株式はほとんど上昇していないことを示しています。
S&P 500の株価収益率(分位別)