WCMが他のアクティブ・マネジャーと異なる点
WCMでは、「楽しむ」「感謝する」「人に貢献する」といった3つのコアバリューを大事にしています。これらのコアバリューは、私が聞く限りにおいて他社と比べてもかなりユニークなものだと思います。大概、多くのところでは「誠実さ」「規律」「プロセス」を中心としたコアバリューを設定しているからです。これらは前提として当然持っているべきものです。私たちは、私たち自身を真に表現するような価値観を打ち出したいと考えました。そして、それはとてもシンプルなものです。自分の仕事を愛し、毎日を「楽しむ」、そしてウォーレン・バフェット氏が言うように、毎日スキップしながら職場に向かえれば、組織の全員からより多くの成果を引き出せるようになります。
そして、「感謝」とは、この時代に自分たちの仕事をできることが実に幸運だということを認めることに他なりません。投資という仕事は、まさに世界で最も刺激的な仕事の一つであり、私たちはそれを実践できているのです。ですから、感謝の気持ちとともに、ある種の謙虚さも持ち合わせられると願っています。日々、非常に賢い人々と競い合っている中で、謙虚さとは生まれるものです。この業界では誰もが懸命に働いています。「投資の方程式」にうまく答えられるよう、私たちには何ができるでしょうか?私にとっては、それは社員をもっと大切にすることです。少し陳腐に聞こえるかもしれませんが、断言します。社員を、仕事面だけでなく個人的な面でも大切にすれば、非常に結束力の強いチームが築けます。そのチームには、卓越した成果を生み出す相乗効果が生まれるのです。ここ数年にわたって私たちが成功を収めてきた最大の理由は、まさにそこにあるのです。
最後に「人に貢献する」ということですが、私は入社したばかりの人から、「WCMで成功するにはどうすればいいですか?」と良く聞かれます。その一人一人に、私はこう答えるのです。「自分の周りのチームメンバー全員を良くし、彼らに貢献し、成長させればよいのです」と。私はこの会社のCEOですが、私の仕事は何だと思われますか?私の仕事は、社員全員にとって仕事がより良くなるようにすることです。つまり、社員に必要なツールを提供し、社員を気にかけ、彼らに貢献することで、組織の全員が仕事をよりうまくこなせるようにすることです。
WCMの投資哲学について
WCMインベストメント・マネジメントの投資哲学とプロセスの核心は、高い競争優位性を持ち、かつ本源的価値に対して割安な価格で取引されている優良企業銘柄を保有することにあります。というのは冗談です。もし実際に、「競争優位性が極めて高い、そして質の高い企業銘柄を安く買う」ことだけをビジネスとして行っているのであれば、競合他社に対して何の優位性も持つことはできません。なぜなら、それはこの業界の誰もがやっていることだからです。そのことに、私たちは約20年前気がついたのです。
アクティブ運用を行うアセット・マネージャーの多くがベンチマークを上回るパフォーマンスを出せない理由は、皆が同じことをしながら、異なる結果を期待しているからにすぎません。それを踏まえ、競争優位性を考えたとき、私たちは次のことを学びました。それは、現時点ですでに絶対的に大きく、あるいは幅広い競争優位性を持っている企業を見つけることよりも、今後10年か20年の間に競争優位性がさらに拡大する可能性が高い企業を見極めることの方がはるかに重要だということです。これは極めて重要な点です。なぜなら、「これは現在、投下資本利益率(ROIC)の高い、市場を支配する大企業か」という問いを、「今現在この企業には非常に強力な経済的なモート(競争優位性)があるかもしれないが、私たちが行っている数多くのパターン認識と分析の結果、このビジネスでは今後数十年にわたってその競争優位がさらに拡大していく可能性が高いと特定している」という枠組みに完全に組み替えることになるからです。
もう一つは「企業文化」です。これは、私たち自身がWCMという会社から学んだことです。ウォール街は、すべてのものを数値化するのが大好きです。多くの人はDCFモデルや膨大なスプレッドシートに何か魔法のような力があると思っています。しかし、実のところ、そこには競争優位性などはありません。今やだれもが同じ情報を持っており、誰でもスプレッドシートを作成できます。しかし、難しい、定量化できないなどの理由から、誰も組織や人的側面の公式に踏み込もうとしないのです。しかし、競争優位性を高め、成長をけん引するのは「人」なのです。すべては「人」にかかっており、すべては「コアバリュー」にかかっています。それゆえに、私たちはこの分野に多大なエネルギーを注いでおり、他社を光年単位でリードしています。WCMには、企業文化の分析に特化したアナリストが4名在籍しています。彼らは競争優位性のモートを評価しようとしたり、企業価値の算定を行うことはありません。ただ、投資対象となるすべての企業について、人的側面の評価をすることに専念しています。そして、企業文化と戦略の間に強い整合性が見られる企業こそが、長期的に高いパフォーマンスを出し続ける勝者となるのです。
企業文化について、重視していること
2022年の企業文化を振り返ってみると、本当に優れた、粘り強く適応力のある文化が、どこで輝き始めたのかがはっきりと見え始めたと感じています。市場が右肩上がりの時は、組織の価値観という観点から企業の文化面で実際に何が起きているのかを見極めるのが難しいことが多いものです。しかし、2022年はいくつかの重要な要素を浮き彫りにしました。その一つが「適応力」です。私たちは企業文化においていくつかの点を重視しています。企業の価値観と戦略面での取り組みの間の整合性や組織全体に浸透する強固な企業文化を求めます。そして、それ以上に重要なのが、適応力なのです。