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グローバル中小型株: 株式市場の「見過ごされた中間子」

2026年10月21日 - 11 min

グローバル中小型株: 株式市場の「見過ごされた中間子」

過去15年間にわたり、米国の超大型テクノロジー企業は成長に成長を重ね、グローバル株式インデックスや投資家のポートフォリオにおいて、その占有比率を拡大し続けてきました。現在、米国株式市場は世界の時価総額の64%以上を占めており¹、これは過去40年間で最も高い水準を維持しています。この比率は、かつてのITバブルのピーク時さえも上回っています²。

多くの投資家がこの成長の恩恵を享受してきた一方で、株式ポートフォリオの大部分が米国のテクノロジーセクターに集中しすぎていることに懸念を抱き、代替案を模索する動きも出始めています。欧州株式や新興国市場に目を向ける投資家もいれば、アセットクラス自体を完全に入れ替える投資家もいます。しかし、その中でも未だそれほど注目されていないのが、グローバル中小型株式です。歴史的に、グローバル中小型株は大型株と同程度のボラティリティおよび配当利回りを維持しながらも³、大型株を上回るリターンを上げてきました⁴。それにもかかわらず、「マグニフィセント・セブン」の驚異的な独走の陰に隠れ、グローバル中小型株の株価は過去5年5の大半において大きく出遅れていました。

現在、中小型株は大型株と比べて割安な水準にあると言えます。さらに、選択肢となる銘柄のユニバースは7,000銘柄を超えており、投資家やアクティブ・マネージャーにとって、ベンチマークを上回るリターンを獲得する極めて大きな機会が存在していると考えています。

 

アウトパフォーマンスを達成する大きな機会

すべての投資家、そしてすべてのアクティブ・マネージャーは、ベンチマークや競合他社を上回る実績を出すことを目指しています。しかし、アップル、アマゾン、マイクロソフトといった有名企業で構成されるS&P 500などのインデックスをもとに投資する場合、ベンチマークを上回る成果を上げることは困難です。これらの企業のほとんどは知名度が非常に高く、アナリストによって綿密に調査・分析されており、多くのグローバル株式や米国大型株のマネージャーも同様の銘柄を保有しているからです。一方、グローバル中小型株インデックス(MSCI ACWI SMID)においては、アウトパフォーマンスを達成する機会がはるかに大きくなります。この中小型株インデックスには7,000社以上の企業が含まれており、それぞれが極めて多様な市場原理や経済環境の影響を受けるものの、グローバル中小型株銘柄をカバーするアナリストの数は、平均してグローバル大型株の半分以下に留まります6。こうした情報の格差ゆえに、底堅いボトムアップ・リサーチを通じて、眼識あるアクティブ・マネージャーが付加価値を提供できる絶好の機会が生み出されるのです。

 

 リスクと成長のスイートスポット

足元では米国の多くの超大型株が驚異的な成長を記録していますが、これほどの超巨大企業が急速な成長を持続することは、歴史的に極めて異例のことです。こうした急成長は本来、小型企業の性質と見られていましたが、小型企業の場合は急速に衰退するリスクも背中合わせです。

しかし、「グローバル中小型株」という名称に反して、中小型株に分類される企業は決して「小さな会社」ではありません。多くの場合、企業のライフサイクルにおける「スイートスポット」(平均的な企業規模は約40億米ドル7)に位置しています。つまり、成長予測には依然として大いなる期待が持てる一方で、真の小型株に比べてボラティリティやリスクが高くなく、規模の大きな成熟した事業を展開しています。

以下の表からは、歴史的な実績において、グローバル中小型株は大型株とそれほど変わらないボラティリティでありながら、大幅に高いリターンを達成しているのが見て取れます。

出所:NIM Client Solutions Group、Morningstar(期間:2001年1月1日~2026年8月31日)。使用インデックス:MSCI ACWI SMID NR USD(中小型株)、MSCI ACWI NR USD(大型株)


グローバル中小型株の運用に強みを有するグループ運用会社のボーン・ネルソンで、CEO兼CIOを務めるクリス・ウォリスはグローバル中小型株の魅力について語ります。

「グローバル中小型株の最大の強みの一つは、分類される銘柄が必ずしも『小さな会社』ではない、という点にあります。私たちが対象とするのは、すでにビジネスが確立され、自社で成長資金を賄えるほど極めて高い収益力を持つ企業です。さらに重要なのは、グローバル中小型株には、多くの不良債権を抱え込んだ巨大な国有企業や大手金融機関、あるいは再投資して成長することできない成熟しきった巨大企業などは含まれていない点です。投資家は純粋に『未来のリーダー企業群』に投資することができ、このことはデータによっても裏付けられています。」

 

優れた分散効果

超大型テクノロジー銘柄の成功がもたらした弊害の一つとして、米国および世界の株式インデックスにおける「集中度」が急激に高まったことが挙げられます。この集中化は、主に次の3つの形で進行しています:1)国としての米国への集中、2)より少数の個別銘柄への集中、そして、3)テクノロジーセクターへの集中です。この結果、米大型株インデックス自体が、世界株式インデックスと酷似したものとなっています。

このように意図せず生じた大型株インデックスの集中化は、インデックス自体の分散効果を損なわせるため、ポートフォリオ内の個別銘柄・セクター・地域の構成比率を自分自身でコントロールしていないパッシブ投資家にとっては、よりリスクを高める要因となっています。さらに、アクティブな大型株のポートフォリオであっても、その構成がベンチマークと類似し、インデックスファンドや他の大型株アクティブ・マネージャーの保有銘柄と大部分が重複してしまうケースは珍しくありません。これに対し、中小型株インデックスに目を向けると、投資機会の規模そのものが膨大であるため、中小型株にフォーカスした複数のポートフォリオを並べても、互いに共通の保有銘柄が一つも存在しないということがよく起こります。この優れた分散効果により、アクティブ投資家は、大型株ユニバースと比較して、中小型株ユニバースから全く異なるビジネスドライバーやファクターを持つ銘柄を選別することが格段に容易になります。

 

なぜ今、グローバル中小型株なのか?

歴史的にはグローバル中小型株はグローバル大型株を上回るリターンを提供してきたものの、ここ数年はその状況が逆転していました。過去4年間において、グローバル中小型株は大型株の後塵を拝しており、このパフォーマンスの格差は2023年初頭以降、さらに顕著になっています。超大型テクノロジー株や人工知能(AI)ブームに沸く大型株インデックスが、グローバル中小型株を置き去りにして急騰したためです8。しかし、過去の推移と比較すると大型株には割高感が漂う一方、中小型株にはより割安感があり、配当見通しも良好とみています。

出所:NIM Client Solutions Group、Bloomberg(2026年8月31日時点)。グローバル大型株はMSCI ACWI、グローバル中小型株はMSCI ACWI Small Mid。過去の実績は、将来の成果を保証または示唆するものではありません。

 

私たちは現在、世界的な大変革の時代に直面しているようです。世界的に著名な投資家であるレイ・ダリオ氏は、これを「一生に一度のグローバル秩序の崩壊」と呼びます。一方で、クリス・ウォリスは、これを「グレート・リバランシング(大いなる再均衡)」と呼ぶ長期的な構造変化の一部であると述べています。かつて米国に集中していた製品、貿易、資本の流れが、それぞれの「本国へと回帰」していく変化です。クリスの予測が正しく、現在のトレンドが継続するならば、中長期的に資本は米国の大型株から世界各国の中小型株へとシフトしていく可能性が高いと考えられます。また、クリスはこうしたボラティリティの上昇こそが、投資家にとって優良なビジネスを割安価格で買い入れる絶好の機会を提供すると確信していますーー「私たちは現在、ボラティリティを『味方』に、アクティブ・マネージャーがその恩恵を十分に享受できる環境にいると考えています。バスケットボールのバックボードのようにボラティリティを活用できるでしょう。その跳ね返りを利用することができるのです。市場がパニックに陥っているときはキャッシュを供給し、市場が私たちの保有株の実力以上の高値で欲しがるならば、喜んで売りに出します。現在の環境は、まさにアクティブ運用に適した環境にあると思います。それをとても嬉しく思っていますし、また楽しんでいます。」

*本記事は2025年4月に作成された記事を元に2026年9月にデータを更新、編集した記事です。

¹.出典:MSCI.com 

².https://www.economist.com/special-report/2024/10/14/why-the-american-stockmarket-reigns-supreme 

³.モーニングスター・ダイレクト、2001年1月から2026年8月31日まで、指数はMSCI ACWI SMIDおよびMSCI ACWI。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスを確実に予測する指標とはなりません。

⁴.同上

5.2025年4月時点

6.出典:NIM Client Solutions Group、Bloomberg(2026年8月31日時点)。世界のSMIDキャップ株には平均9件、世界の大型株には平均19件のアナリスト推奨がありました。数値は1銘柄あたりのアナリストカバレッジの中央値に基づいています。

7.出典:MSCI.com、2026年8月31日時点

8.出典:NIM Client Solutions Group、ブルームバーグ(2026年8月31日時点)

 

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