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共鳴する市場: 現代投資理論に基づく「60/40」モデルポートフォリオの変化

5月 22, 2026 - 6 min
共鳴する市場: 現代投資理論に基づく「60/40」モデルポートフォリオの変化

「株式60%/債券40%」という伝統的な資産配分は、数十年にわたりバランス型投資の標準的な手法とされてきました。長年、アセットアロケーターの重要な指針として定着してきたこともあり、その終焉をめぐる議論にはそれほど新鮮味が感じられません。

しかし、「60/40」モデルは、緩やかながら着実なペースで変化してきています。2026年現在では、モデルそのものの有効性よりも、構造的な複雑性の増加、プライベート市場の成熟化、リターンの源泉の多様化といった運用環境に適応するため、モデルをどのように発展させるべきかが、より重要な論点となっています。

  • 債券と株式の重要性が失われたわけではありません。ポートフォリオの強靱性向上、投資機会の拡大、上場市場のベータに対する依存度低下などの効果をもたらすプライベート・アセットをはじめとするリスク分散資産によって、伝統的な資産配分が補完される傾向が強まりつつあることが問題の核心です。
  • 「60/40」モデルの本来的な魅力は、洗練されたシンプルさでした。株式が長期的な成長を牽引する一方で、信用力の高い債券がリスク資産の下落局面においてボラティリティの抑制と投資元本の保全に寄与する、という考え方でした。
  • しかしながら、2022年にインフレの上昇と金融政策の引き締めを受けて株式と債券が同時に下落した局面で、この理論は大きな試練に直面することになります。それ以降、バランス型ポートフォリオの二大構成要素の相関は不変なものではなく、従来よりも能動的に分散の度合いを調整する必要があることを、投資家は受け入れざるをえなくなりました。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズのクライアント・ソリューションズ・グループ責任者であるジュリアン・ドーシェは、大きな変化が生じているのは債券の領域であると語ります。投資家のポートフォリオにおいて、株価下落の影響が保有債券によって十分吸収されなかったケースとして、2022年の局面を示しつつ、それが唯一の事例ではないとも指摘しています。

「長期国債の利回り(イールド)は、特に欧州市場において急激に上昇しています」と、ドーシェは指摘します。「すなわち、イラン紛争に端を発するインフレ懸念を背景に、長期債が軒並み大幅にアンダーパフォームしている状況です。『60/40』モデルをはじめとするマルチアセット・ポートフォリオでは、債券への配分が株式への配分を顕著にアンダーパフォームしているということです」。

「一方、米国市場においては、インフレは大きな問題となっていません。むしろ、財政赤字、今後予定される減税措置が、戦費拡大といった要因と重なって長期債の価格に影響を及ぼしており、米国の長期国債利回りは上昇の一途をたどっています」。

ドーシェはさらに続けます。「債券市場によって背景要因は若干異なりますが、債券に対する40%のアロケーションの中で、国債から、デュレーションの短いクレジット主体の選択肢に入れ替えを進めるといった、一般的な投資家の傾向が見受けられます。その一方で、キャッシュ同等の資産、ヘッジファンド、コモディティ、プライベート・アセットなどの保有比率が、ポートフォリオ全体の10%程度と相応の水準に達しているため、『60/40』は『60/30/10』に変わりつつあると考えます」。

プライベート・アセットの果たす重要な役割

実際に「60/40」モデルの意義が問われるようになったのは、2014年に欧州中央銀行(ECB)が政策金利をマイナスの領域に引き下げた際に、欧州を中心とする投資家が従来とは異なる市場環境に直面することになった頃にさかのぼります。マイナス金利への引き下げは、通常の利下げとは異なる意味合いを持つものでした。投資家は、マネー・マーケット・ファンドや銀行預金に滞留する資金にコストが発生する構図を、突如として認識するようになったのです。,

「特にプラスの金利環境しか経験したことのない機関投資家にとっては、ショッキングな出来事でした」と、VEGAインベストメント・ソリューションズのプライベート・アセットチーム責任者であるフィリップ・ファジェは回想します。「ポートフォリオにおいて、伝統的に“安全な”領域からリターンが得られない環境において、アセットアロケーション、ポートフォリオの構築、長期的な運用目標を達成する方法について、従来とは異なる見方をせざるをえなくなりました」。

「そのような環境において、プライベート・アセットの開発が加速したことは重要なポイントです。年金基金や保険会社をはじめとする長期投資家は必要なリターンを創出するために、上場の債券・株式以外にも目を向ける必要に迫られました。その結果、戦略的なアセットアロケーションにおいて、プライベート・エクイティ、プライベート・デット、インフラは、周辺的な存在から中心的な存在に変わったのです」。

現在では、ポートフォリオの構築において脇役的な位置付けであったプライベート市場が、議論の中心を占めるに至っています。プレキン(Preqin)のデータによると、プライベート・エクイティ、プライベート・クレジット、インフラ、不動産、ヘッジファンド、天然資源を含む世界のオルタナティブ運用資産残高は、新型コロナ危機前の11兆ドルから急増し、2030年までに32兆ドル規模に達する見通しです1

プライベート市場の成長は、機関投資家の投資先選択肢が増えた話にとどまりません。資金調達の手法、企業が非上場のステータスを維持する手法、投資家がインカムや分散効果、プライベート・アセットに関連する長期的なテーマへのアクセスを追求する手法といったものの、構造的な変化を反映する動きと言えるでしょう。.

 

分散効果の重要性は変わらない

ファイナンシャル・アドバイザーは、顧客のポートフォリオにプライベート・アセットを組み入れることの明確なメリットを、確実に認識しています。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが実施した調査2では、回答者の半数近く(49%)が、上場市場内の高い相関を背景にプライベート・アセットの魅力が高まったと回答しており、また、56%が顧客の運用成績の改善につながったと回答しています。

また、今後20年間で、高齢者の保有資産がその配偶者、子供、孫、慈善団体、基金などへ移転し、84兆ドル以上の資産移転が進む見通しのなかで3、若い世代の投資家がプライベート・アセット志向のトレンドを持続させる可能性が高いと、アドバイザーは強く認識しています。

実際、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが実施した別の投資家向け調査4では、プライベート・アセットに関する知識が増えるほど投資意欲が高まると回答した割合は、ミレニアル世代(一般に1981~96年生まれ)で55%、X世代(一般に1965~80年生まれ)で46%に達する一方で、ベビーブーマー世代(一般に1946~64年生まれ)では29%にとどまりました。また、ミレニアル世代の44%が、投資対象を上場市場に限定することで絶好の投資機会(SpaceXやOpenAIなど)を逃していると感じている状況が示されました。

その一方で、プライベート・アセットが株式と同様に日々値付けされているとの認識が、ミレニアル世代で63%、X世代で66%に達している状況を踏まえると、プロセスの一環として投資教育が不可欠だと考えられます。パブリック(上場資産)とプライベートの資産配分においては、適切なバランスを確保することが重要であり、いくつかの投資案件だけで世代間の資産を形成しようと考える投資家にとっては、期待外れとなる可能性が高いでしょう。

プライベート・エクイティに強みを有するフレックスストーン・パートナーズの共同CIO兼マネージング・パートナーであるニティン・グプタは、次のように述べています。「次のエヌビディアやビットコインの探求に情熱を注ぐ人たちにとっては、私たちのアプローチは適さないでしょう。私たちは『夜、安心して眠れる』戦略を志向し、一貫してすべてのファンドで2倍のリターンを追求しています。これこそが、フレックスストーンが紡ぎ上げた運用哲学です。ユニコーン企業(未公開の巨大企業)を探すのではなく、再現性のある持続可能なパフォーマンスを重視します。安定性に注目することで、着実に積み上がり、再現可能なリターンの価値を獲得することが可能になると考えます」。

「カクテル・パーティーでは、棚ぼた的な取引や世代間の資産形成の話題で誰しも盛り上がりますが、多くの経験豊富なアセットアロケーター、とりわけ機関投資家は、安定的で一貫した運用成績の価値を認識しています。全資産をプライベート・エクイティに投資すべきと主張するつもりはありませんが、投資ポートフォリオの一部にプライベート・エクイティを組み入れる意義があると確信しています」。

 

現代におけるポートフォリオの枠組み

「60/40」モデルの“改訂版”は、厳格なフォーミュラとしてではなく、ポートフォリオ全体の枠組みとして理解する方が適切です。成長を支える上場株式の役割と、安定性を高める投資適格債券の役割は変わりません。同時に、分散効果を高め、ポートフォリオのリスク調整後リターンを向上させる目的で、プライベート・クレジット、インフラ、その他の実物資産への投資が選択肢になります。

本質的なトレードオフの関係は、非常に明快です。通常、分散を拡大するほど流動性は低下し、また、運用実務が複雑化するとともに、運用会社を厳格に選定する必要性が高まります5。つまり、現代のポートフォリオに関する議論では、「60/40」モデルの終焉を宣言することよりも、モデルの限界を認識することの方がはるかに重要になります。例えば、ゴールドマン・サックスのリサーチは、2026年の株式市場の展望として、強気相場の範囲が広がる一方で、インデックスのリターンは前年を下回ると予想しています。この見通しに基づくと、上場市場における限られた勝ち組だけではなく、幅広い対象に目を向ける必要性が高まると考えられます6

そのような市場環境となれば、アセットアロケーターは、上場市場の効率性とプライベート市場へのアクセスを融合し、インカムの多様な獲得手段とより戦略的な流動性管理のアプローチを兼ね備えたポートフォリオを選好する可能性が高いと見込まれます。これは伝統的なモデルの否定ではなく、より柔軟性の高いマルチアセットの枠組みへの進化として捉えられます7

端的に言えば、「60/40」モデルは廃れたわけではありません。とりわけ、債券のより確実な分散効果が回復した現状において、堅実な出発点としての役割は失われていません。ただし、次世代のポートフォリオ構築プロセスにおいては、単一の固定的な配分は基準とならず、パブリック(上場市場)、プライベート市場両方の資産を合理的に組み合わせ、流動性を効率的に管理しつつ、多様な市場の展開に対して強靱性を発揮するポートフォリオを構築できるかどうかが、鍵となるとみています。

 

1 プレキン「Private markets in 2030(プライベート市場-2030年の展望)」
2 ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ「Global Survey of Individual Investors(個人投資家向けグローバル調査)」CoreData Researchにより2025年2~3月に実施。21カ国の7,050人の個人投資家が対象。
3 セルーリ・アソシエイツ「U.S. High-Net-Worth and Ultra-High-Net-Worth Markets 2021(米国の富裕層・超富裕層向け市場-2021年)」
4 ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ「The Great Wealth Transfer: An existential test for advice(大いなる資産移転-ファイナンシャル・アドバイザーの存在意義が問われる試練)」 ‘The Great Wealth Transfer: An existential test for advice’, 
5 デロイト「Financial Services Regulatory Outlook 2026(金融サービス業界の規制見通し-2026年)」 https://mkto.deloitte.com/rs/712-CNF-326/images/regulatory-outlook-2026.pdf?version=0
6 ゴールドマン・サックス「Global Equity Strategy 2026 Outlook: Tech Tonic(グローバル株式戦略-2026年の見通し:テック・トニック)」 https://www.goldmansachs.com/insights/goldman-sachs-research/equity-outlook-2026-tech-tonic-a-broadening-bull-market
7 アーンスト・アンド・ヤング(米国)「Private equity trends 2026: leading through change(プライベート・エクイティのトレンド-2026年:変化を主導する)」https://www.ey.com/en_us/insights/private-equity/leading-through-change-2026-private-equity-trends

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注記

本記事は情報提供のみを目的として作成されたものであり、投資の助言として解釈してはなりません。本記事に記載された見解は記載日時点のものであり、今後変わる可能性があります。本記事の予測どおりに事態が展開する保証はありません。投資にはすべて、損失リスクを含むリスクが伴います。どのような投資戦略やリスク管理手法であっても、あらゆる市場環境においてリターンを保証することやリスクを排除することはできません。株式、債券、オルタナティブ投資には投資に関連するリスクが伴います。運用目標が達成される保証も損失が回避される保証もありません。

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